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COLUMN / 費用・賠償

不倫の慰謝料相場
——離婚する場合・しない場合で金額が変わる理由

2026年7月11日 三郷探偵事務所 費用・賠償

「不倫の慰謝料って、結局いくらもらえるの?」——ご相談の場で必ずといってよいほど出てくる質問です。

結論から言えば、慰謝料に「定価」はありません。ただし裁判例の積み重ねから、離婚に至る場合は概ね150〜300万円程度、離婚しない場合は50〜150万円程度が目安と一般にいわれています。同じ不倫でも、離婚するかどうかで金額の水準が大きく変わるのです。

このコラムでは、慰謝料の法的根拠と一般的な相場観、金額を左右する6つの要素、そして請求の前提となる「証拠」の重要性について、誇張のない範囲で正確にお伝えします。

1. 慰謝料の法的根拠と一般的な相場観

不倫(法律用語では「不貞行為」)の慰謝料は、民法第709条(不法行為)と民法第710条(非財産的損害の賠償)を根拠とします。不貞行為は、被害配偶者の「婚姻共同生活の平和の維持という法律上保護される利益」(最高裁平成8年3月26日判決)を侵害する不法行為であり、それによって受けた精神的苦痛が、金銭で賠償されるべき「損害」と評価されます。

民法第709条(不法行為による損害賠償)

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

民法第710条(財産以外の損害の賠償)

身体・自由・名誉や財産権の侵害にかかわらず、不法行為の加害者は「財産以外の損害」——すなわち精神的苦痛——についても賠償責任を負うことを定めた条文です。慰謝料はこの規定に基づきます。

では、その金額はいくらになるのか。裁判例の傾向から、一般に次のような水準が目安とされています。

不倫発覚後の状況 一般にいわれる目安
不倫が原因で離婚に至った場合 概ね150〜300万円程度
離婚しない(婚姻を継続する)場合 概ね50〜150万円程度

注意

この金額はあくまで一般的な目安であり、個別の事情によって上下します。「必ずこの金額を取れる」と保証できるものではなく、目安を下回る事案も上回る事案も存在します。なお、離婚はしないものの別居に至った場合は、両者の中間的な水準で判断されることが多いといわれています。

2. なぜ「離婚するかどうか」で金額が変わるのか

同じ不貞行為なのに、離婚するかどうかで金額の水準が変わる——不思議に思われるかもしれませんが、理由は慰謝料の性質にあります。慰謝料は「不倫への罰金」ではなく、被害配偶者が受けた精神的苦痛(損害)の大きさに応じた賠償だからです。

離婚に至った場合

不貞によって婚姻関係そのものが壊れたと評価されます。家庭を失うという結果の重大さから、精神的苦痛も大きいと判断されやすく、金額は高くなる傾向があります。

離婚しない場合

深く傷ついたことに変わりはなくても、婚姻共同生活は維持されているため、損害は相対的に小さいと評価されやすく、金額は低めにとどまることが多いとされています。

重要なのは、離婚しない場合でも慰謝料請求はできるという点です。「離婚しないなら請求できない」と誤解して泣き寝入りする必要はありません。配偶者との関係を続けながら、不倫相手にだけ慰謝料を請求するケースも実際に多くあります。

一方、離婚を選ぶ場合は、慰謝料だけを見ていると判断を誤ることがあります。離婚で動くお金は慰謝料よりも財産分与のほうが大きくなる場合が多いためです。詳しくは「離婚で本当に守るべきお金は『財産分与』」のコラムで解説しています。

3. 金額を左右する6つの要素

相場に幅があるのは、裁判所が個別の事情を総合的に考慮して金額を決めるためです。実務上、主に次の6つの要素が金額を左右するといわれています。

婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど、築いてきた家庭を侵害された程度が大きいと評価され、金額が高くなる傾向があります。逆に婚姻期間が短い場合は低めに判断されることが多いです。

不貞行為の期間・回数

長期間・多数回にわたる不貞は悪質性が高いと評価されやすく、増額要素になります。一度きりの関係か、数年に及ぶ関係かで、判断は大きく変わる場合があります。

子の有無

未成熟の子がいる家庭への影響は重大と評価されやすく、増額方向に働くことが多いといわれます。不貞をきっかけに子の生活環境が変わった場合はなおさらです。

精神的被害の程度

不倫の発覚によりうつ状態になり通院した、仕事を続けられなくなった——こうした被害が診断書等で裏付けられる場合、増額要素として考慮されることがあります。

相手方の資力・社会的地位

相手の収入や資産は、現実に支払いを受けられるかという回収可能性に直結します。交渉での着地額は、相手の資力に影響される場合が少なくありません。

離婚・別居に至ったか否か

第2章で見たとおり、結果の重大性を測る最も大きな指標です。なお、不貞の前からすでに婚姻関係が破綻していたと認められる場合には、慰謝料が大幅に減額されたり否定されたりする場合があります。

これらの要素は「自動計算」されるものではなく、証拠によってどこまで立証できるかで実際の金額が決まります。だからこそ、次章でお伝えする「証拠」が決定的に重要になります。

慰謝料の見通しは、証拠の強さで変わります

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4. 慰謝料請求の前提は「不貞行為の証拠」

相場の話には、必ず前提があります。それは「不貞行為(肉体関係)を立証できること」です。どれだけ増額要素が揃っていても、不貞そのものを証明できなければ、慰謝料請求は成り立ちません。

相手が不貞をあっさり認めるケースばかりではありません。否定された場合に頼れるのは証拠だけです。そして証拠が弱いと、交渉の段階で「その程度の証拠では裁判で勝てませんよ」と足元を見られ、相場を大きく下回る金額での決着や、請求自体の断念につながりやすいのが実情です。

証拠の強弱が金額を動かす構図

  • 強い証拠がある:相手は裁判になれば負けると分かるため、相場水準での交渉に応じやすい
  • 証拠が弱い・ない:相手が否認に転じ、大幅減額かゼロ回答で押し切られるリスクが高まる

注意したいのは、LINEのやり取りや自分で撮った写真だけでは、不貞行為の立証として不十分と判断される場合があることです。自分で集めた証拠が裁判で使えない理由については、「自分で集めた浮気の証拠が、裁判で使えない3つの理由」で詳しく解説しています。

なお、証拠取得のためにかけた探偵費用が慰謝料とあわせて回収できるかどうかは、「探偵費用は慰謝料から回収できるか」のコラムをご覧ください。

5. 弁護士に依頼する場合の一般的な流れ

慰謝料請求を本格的に進める場合、多くの方が弁護士に依頼します。一般的には次のような流れで進むことが多いです。

01

証拠の確保

請求の土台となる不貞行為の証拠を確保します。相手に警戒される前の、最初の一手が最も重要です。

02

弁護士への相談・方針決定

証拠をもとに、請求額・請求の相手(配偶者か不倫相手か、その両方か)・離婚するか否かの方針を決めます。

03

内容証明郵便による請求・交渉

弁護士名で請求書を送り、示談交渉に入ります。証拠が固まっていれば、裁判に至らず交渉で解決するケースも多くあります。

04

合意できなければ調停・訴訟へ

交渉がまとまらない場合は調停や訴訟に進みます。ここで判断材料になるのも、やはり証拠の強さです。

※ 不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年で時効にかかる場合があります(民法第724条)。請求を考えている方は、早めに動くことをおすすめします。

三郷探偵事務所では、証拠を取って終わりにはしません。調査後の話し合いや手続きについてもご相談いただけるよう、必要に応じて提携弁護士のご紹介を無料で行っています。「証拠の取得」から「その後の請求」まで、切れ目なく進められる体制です。

まとめ

  • 慰謝料の根拠は民法709条・710条。精神的苦痛に対する賠償であり「定価」はない
  • 一般に、離婚に至る場合は150〜300万円程度、離婚しない場合は50〜150万円程度が目安とされる
  • 金額は婚姻期間・不貞の期間や回数・子の有無・精神的被害・相手の資力・離婚の有無で増減する
  • 請求の前提は不貞行為の証拠。証拠が弱いと交渉で大幅減額されやすい
  • 時効の問題もあるため、証拠の確保と弁護士への相談は早めに動くのが得策

よくある質問

Q.不倫の慰謝料相場はいくらですか?

A.一般に、不倫が原因で離婚に至る場合は概ね150〜300万円程度、離婚しない場合は50〜150万円程度が目安とされています。ただし、婚姻期間・不貞の期間や回数・子の有無・精神的被害の程度などの個別事情で金額は大きく変わるため、確実な金額を事前に保証できるものではありません。

Q.離婚しない場合でも慰謝料は請求できますか?

A.はい。離婚しなくても、不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料は、民法第709条・第710条に基づいて請求できます。ただし、婚姻関係が継続している場合は「婚姻共同生活が完全には破壊されていない」と評価されやすく、離婚に至った場合よりも低い金額になることが多いとされています。

Q.慰謝料の金額はどんな要素で増減しますか?

A.主な考慮要素として、婚姻期間の長さ、不貞行為の期間・回数、子の有無、精神的被害の程度(うつ状態の発症など)、相手方の資力や社会的地位、そして離婚や別居に至ったか否かが挙げられます。これらの事情が積み重なるほど金額は高くなりやすく、逆に婚姻関係がすでに破綻していた場合などは減額されたり否定されたりする場合があります。

Q.証拠がなくても慰謝料を請求できますか?

A.請求すること自体は可能ですが、相手が不貞を否定した場合、肉体関係の存在を推認させる証拠がなければ、交渉でも裁判でも認められにくいのが実情です。証拠が弱いと「不貞の立証は難しい」と足元を見られ、交渉段階で大幅な減額を求められやすくなります。慰謝料請求を考えるなら、まず証拠の確保が前提になります。

Q.慰謝料請求はどのような流れで進みますか?

A.一般的には、証拠の確保、弁護士への相談、内容証明郵便などによる請求、相手方との交渉、合意できない場合は調停・訴訟という流れで進むことが多いです。なお、不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年で時効にかかる場合があります(民法第724条)。三郷探偵事務所では、証拠取得後に提携弁護士のご紹介を無料で行っています。

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